住宅ローンの繰上返済とNISA、どっちが得?2026年10月の判断ポイント

NISA・投資・資産形成

住宅ローンの繰上返済とは、毎月の返済とは別に元金を前倒しで返済することです。住宅金融支援機構によると、一部繰上返済には次の2つの方法があります。

  • 返済期間を短縮する方法(期間短縮型)
  • 毎月の返済額を減らす方法(返済額軽減型)

繰上返済をすると、総返済額を減らしたり、完済時期を早めたりできます。

繰上返済のメリットは「利息を確実に減らせる」こと

繰上返済で減らせる利息は、投資のように相場で増減しません。住宅ローン金利が年1.5%なら、100万円を繰上返済すると、その100万円にかかる予定だった利息を減らせます。つまり繰上返済は、ローン金利と同じ水準の利回りを得る行為に近いと言えます。

ただし、効果が「確定」するのは固定金利の場合です。変動金利では将来の金利が変わるため、「現時点の金利を前提にすると」という但し書きが付きます。

NISAのメリットは「ローン金利を上回る運用益を狙える」こと

NISAでは投資信託や株式などを運用し、利益が出ても一定の範囲で税金がかかりません。100万円を年5%で運用できれば、単純計算で1年に5万円の運用益です。住宅ローン金利が1%なら、数字だけを比べるとNISAが有利に見えます。

ただし、年5%はあくまで仮定の数字で、保証されたものではありません。金融庁も、株式や投資信託には元本割れの可能性があると説明しています。たとえば100万円を投資して翌年に相場が20%下落すれば、80万円になります。一方、100万円を繰上返済すれば、ローン残高は100万円減ります。

  • NISA:増えることもあるが、減ることもある
  • 繰上返済:大きくは増えないが、利息削減の効果は堅実

住宅ローン減税を受けている間は要注意

繰上返済の前に必ず確認したいのが住宅ローン減税です。この制度は、年末のローン残高をもとに所得税などから控除を受けられます。控除率は年末残高の0.7%です(2022年以降の入居の場合。制度の細部は国税庁などで最新情報を確認してください)。

繰上返済で年末残高が減ると、控除額も減る可能性があります。さらに、次の点にも注意が必要です。

  • 一部繰上返済の結果、当初借入日(初回返済日)から最終返済日までの総期間が10年未満になると、住宅ローン減税の対象外になる場合があります。残りの期間が10年未満という意味ではない点に注意してください。
  • 金融機関によって、繰上返済の最低額や手数料が異なります(住宅金融支援機構の窓口手続きでは100万円以上が条件です)。

低金利で借りている人ほど、「減らせる利息」と「減税で受けられる控除」を比べると、繰上返済のメリットが小さい場合があります。

金利が高いほど、繰上返済の魅力は大きくなる

残高3,000万円で単純計算すると、年間利息の目安は次のとおりです。

  • 金利1%:約30万円
  • 金利2%:約60万円
  • 金利3%:約90万円

実際は元金が毎月減るので、この通りにはなりません。それでも、金利が高いほど繰上返済で減らせる利息が大きくなる、という考え方は変わりません。

2026年は日銀の6月の利上げを受けて、10月にりそな銀行など多くの銀行が変動金利を引き上げました。三菱UFJ銀行の10月の新規変動金利は、最優遇の「ずーっと一律優遇コース」で年1.195%です(店頭表示金利は年3.375%)。三菱UFJ銀行や三井住友銀行は9月までに引き上げ済みで、10月は据え置きです。以前「繰上返済しなくていい」と判断した人も、条件をもう一度確認する価値があります。

最優先は「生活防衛資金」

繰上返済とNISAを考える前に、手元の現金を十分に残すことが大切です。たとえば貯金300万円の家庭が200万円を繰上返済に使うと、手元には100万円しか残りません。車の故障、病気、失業、教育費、家の修繕が重なると困ります。

住宅ローンに返したお金は、基本的に引き出せません。NISAは売却できますが、相場下落中だと損失を抱えたまま売ることになりかねません。そのため、生活費の半年〜1年分程度の現金を確保したうえで、余剰資金を使うのが現実的です。これは一般的なFPの目安で、家庭の状況によって変わります。

100万円の余剰資金があるなら

  • ケース①:金利0.8%で住宅ローン減税を受けており、20年以上の長期投資ができる
    繰上返済を急がず、NISAで長期運用する選択肢も十分あります。
  • ケース②:固定金利で2%超、減税が終わっており、投資で損をするのが不安
    繰上返済の魅力が高まります。減らせる金利コストが大きいためです。
  • ケース③:手元資金が少ない
    金利が高くても、繰上返済は急がず、まず生活防衛資金を作ります。

「半分ずつ」も立派な選択肢

二者択一にする必要はありません。たとえば100万円なら、50万円を繰上返済し、50万円をNISAに回す方法もあります。ローン残高を減らしながら資産形成も続けられ、どちらか一方に全額を投じるリスクも避けられます。

期間短縮型と返済額軽減型

  • 期間短縮型:毎月の返済額は変えず、完済を早める方法。利息削減効果を重視する人向けです。
  • 返済額軽減型:返済期間は変えず、毎月の返済額を減らす方法。家計を楽にしたい人向けです。

金融機関によって最低返済額や手数料が違うため、実行前に契約内容を確認してください。

どっちを優先すべき?

繰上返済を優先しやすい人

  • 住宅ローン金利が高い
  • 住宅ローン減税が終わっている
  • 借金があること自体がストレス
  • 投資リスクを取りたくない
  • 老後までに完済したい

NISAを優先しやすい人

  • 住宅ローン金利が低い
  • 住宅ローン減税を受けている
  • 10年以上運用できる
  • 価格下落を受け入れられる
  • 生活防衛資金が十分ある

まとめ

繰上返済とNISAに、絶対の正解はありません。判断するときは、次の4つを確認しましょう。

  1. 住宅ローン金利(固定か変動か)
  2. 住宅ローン減税の有無と残り期間
  3. 生活防衛資金
  4. 投資できる期間

「投資したほうが得らしい」「借金は早く返すべき」と一律に決めず、自分の家計・金利・リスク許容度に合わせて使い分けることが大切です。

※この記事は2026年10月4日時点の公開情報をもとに作成しています。投資には元本割れのリスクがあり、住宅ローンの条件は契約によって異なります。個別の判断は、金融機関やFPなどの専門家にご相談ください。

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