【住宅ローン】繰上返済と投資はどっちがお得?100万円で比較してみた

NISA・投資・資産形成

住宅ローンの繰上返済と投資、どっちがお得?

手元に500万円の余裕資金があったら、あなたならどうしますか?

「住宅ローンを500万円繰上返済して、借金を減らしたい」

という人もいれば、

「住宅ローンは低金利だから、500万円はNISAなどで運用した方がいいのでは?」

と考える人もいるでしょう。

どちらも間違いではありません。

大切なのは、単純に「住宅ローン金利」と「投資の期待利回り」だけを比べないことです。

住宅ローン控除が残っているのか、手元に十分な現金があるのか、何年間投資できるのか、そして価格が下がっても投資を続けられるのか。

こうした条件によって、選択は変わります。

今回は、500万円を住宅ローンの繰上返済に使った場合と、投資に回した場合を具体的な数字で比較してみます。

今回のシミュレーション条件

今回は分かりやすくするため、次のような住宅ローンを想定します。

項目条件
住宅ローン残高3,000万円
残り返済期間30年
金利年1.0%
返済方法元利均等返済
ボーナス返済なし
余裕資金500万円

※金利は今後30年間変わらないものとして計算するモデルケースです。実際の住宅ローンでは、金利タイプや金融機関、繰上返済のタイミングなどによって結果が異なります。

① 500万円を住宅ローンの繰上返済に使う

住宅ローンの一部繰上返済には、大きく分けて、

「期間短縮型」と「返済額軽減型」

があります。

期間短縮型は毎月の返済額を基本的に変えず、完済時期を早める方法。

返済額軽減型は返済期間を変えず、毎月の返済額を減らす方法です。

住宅金融支援機構でも、この2つの方法が案内されています。

今回は、利息を減らす効果を比較しやすくするため、期間短縮型で考えます。

住宅ローン残高3,000万円、残り30年、金利年1.0%の場合、毎月の返済額は概算で約9万6,500円です。

このまま30年間返済すると、今後支払う利息は概算で約474万円になります。

そこで、手元の500万円を繰上返済するとどうなるでしょうか。

繰上返済しない500万円繰上返済
繰上返済前の残高3,000万円3,000万円
繰上返済額0円500万円
毎月返済額約9.65万円約9.65万円
完済まで約30年約24年4か月
今後の利息約474万円約318万円
利息軽減効果―約156万円

※概算シミュレーションです。実際の金額は金融機関の計算方法、返済日、端数処理、金利変更、手数料などによって異なります。

つまり、この条件では500万円を繰上返済することで、将来支払う利息を約156万円減らせる計算になります。

さらに、完済時期も約5年8か月早まります。

「住宅ローンを早くなくしたい」という安心感も、繰上返済の大きなメリットでしょう。

② 500万円を投資したらどうなる?

では、500万円を繰上返済せず、長期運用した場合はどうでしょうか。

仮に500万円を30年間運用できたとして、年3%・5%・7%で複利運用した場合を計算してみます。

想定利回り500万円を30年間運用した場合
年3%約1,214万円
年5%約2,161万円
年7%約3,806万円

※「500万円×(1+利回り)^30年」による単純なシミュレーションです。税金・手数料等は考慮していません。

数字だけを見ると、

「それなら繰上返済しないで投資した方がいいじゃないか」

と思うかもしれません。

しかし、ここには非常に大きな違いがあります。

繰上返済による利息削減効果と、投資の将来リターンは同じ性質のものではありません。

繰上返済をすれば、その分の元金に対して将来発生するはずだった住宅ローン利息を減らせます。

一方、投資の年3%・5%・7%という数字は、あくまでシミュレーション上の想定です。

実際の投資では価格が下落することもあり、将来の利益は保証されていません。

だからこそ、

「住宅ローン金利1% < 投資利回り5%だから投資」

という単純な比較だけで決めないことが大切です。

③ 住宅ローン控除が残っている場合は注意

住宅ローンの繰上返済を考えるとき、忘れてはいけないのが住宅ローン控除です。

住宅ローン控除を受けている期間中は、年末時点の住宅ローン残高などをもとに控除額が計算されます。

そのため、控除期間中に500万円を繰上返済すると、住宅ローン残高が減ることで、受けられる控除額が小さくなる可能性があります。

つまり、

「繰上返済で減らせる利息」だけを見るのではなく、「住宅ローン控除がどれだけ減るのか」も一緒に考える必要があります。

また、繰上返済によって返済期間が短くなり、住宅ローン控除の償還期間に関する要件を満たさなくなる場合には、控除を受けられなくなることもあるため注意が必要です。

特に低金利の住宅ローンで、まだ住宅ローン控除の期間が残っている人は、**「控除期間中は手元資金を確保し、控除終了後に繰上返済を検討する」**という考え方も選択肢のひとつです。

※住宅ローン控除の適用条件や控除期間は、入居時期・住宅性能・借入条件などによって異なります。実際に判断するときは、ご自身の適用条件を国税庁などで確認してください。

④ 500万円を全部、繰上返済や投資に使っていい?

ここまで500万円を「繰上返済する場合」と「投資する場合」で比較してきました。

しかし、実際にはもう一つ大切な選択肢があります。

500万円を全部使わず、一部を現金として残しておくことです。

たとえば手元に500万円あるからといって、その全額を繰上返済してしまうと、住宅ローンは減りますが、自由に使える現金も500万円減ってしまいます。

住宅ローンは、一度繰上返済したお金を簡単に取り戻すことはできません。

その後、

  • 病気やケガなどによる収入減
  • 車の買い替え
  • 住宅の修繕
  • 子どもの教育費
  • 家電の故障
  • 転職や独立

などでまとまったお金が必要になる可能性もあります。

投資についても同じです。

500万円をすべて投資して、その直後に相場が大きく下落したタイミングで現金が必要になれば、損失が出ている状態で売却しなければならない可能性があります。

だからこそ、

「500万円ある=500万円すべてを繰上返済または投資に使える」

とは限りません。

まずは生活費や近い将来必要になるお金を確保し、そのうえで**「当面使う予定のない余裕資金はいくらなのか」**を考えることが大切です。

たとえば500万円のうち、

200万円は現金として残す
150万円は繰上返済する
150万円は長期投資する

といったように、必ずしも「繰上返済か投資か」の二択にする必要はありません。

金額の配分に万人共通の正解はありません。

住宅ローンの金利、住宅ローン控除、家族構成、今後の支出予定、収入の安定性、保有資産、投資経験などによって適切な配分は変わります。

「返す・増やす・残す」の3つに分けて考える。

これも、余裕資金の使い方を考える一つの方法です。

⑤ 結局、繰上返済と投資はどっちがいい?

結論からいうと、「全員にとってこちらが正解」という答えはありません。

同じ500万円を持っていても、住宅ローンの金利や残り期間、住宅ローン控除、手元資金、年齢、家族構成、投資できる期間などによって判断は変わります。

繰上返済が向いている人

住宅ローンを早く減らすことを優先したい人は、繰上返済との相性がよいでしょう。

特に、

・住宅ローン金利が高い
・住宅ローン控除が終了している
・十分な現金を別に確保できている
・投資の値動きに不安を感じる
・早く住宅ローンを完済したい

といった人は、繰上返済を検討する価値があります。

繰上返済のメリットは、投資のように将来の相場を予想する必要がなく、将来支払う住宅ローン利息を減らせることです。

投資が向いている人

一方で、

・住宅ローン金利が低い
・長期間使う予定のない余裕資金がある
・十分な生活防衛資金を確保している
・長期投資ができる
・価格下落のリスクを理解している

といった人は、繰上返済を急がず、投資に回す選択肢も考えられます。

ただし、投資には元本割れの可能性があり、将来の運用成果は保証されません。

実は「両方」という選択肢もある

そして忘れたくないのが、

繰上返済か投資か、どちらか一つを選ぶ必要はない

ということです。

500万円の余裕資金があるなら、

現金として残すお金
住宅ローンを減らすお金
将来のために育てるお金

に分ける方法もあります。

大切なのは、「どちらの方が数字上得なのか」だけではなく、自分が何を大切にしたいのかまで含めて決めることです。

まとめ|500万円の使い道に「絶対の正解」はない

今回の条件では、住宅ローン残高3,000万円・残り30年・金利1.0%の住宅ローンに500万円を期間短縮型で繰上返済すると、概算で約156万円の利息を減らせるという結果になりました。

一方、500万円を長期間投資すれば、それ以上に資産が増える可能性もあります。

しかし、

繰上返済による利息削減と、投資の期待リターンは同じものではありません。

投資には価格変動がありますし、繰上返済には手元の現金が減るというデメリットがあります。

「得する」とは、単純に一番お金が増える選択をすることだけではありません。

住宅ローンを減らして安心して暮らすことも、将来のために資産を育てることも、今必要なお金をきちんと残しておくことも、すべて大切なお金の使い方です。

「返す・増やす・残す」

この3つのバランスを考えながら、自分のライフプランに合った選択をしていきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品への投資や繰上返済を推奨するものではありません。住宅ローンや税制、投資については個々の条件によって結果が異なります。

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